不完全な朝日スクープが「仇」に
加計問題文書でNHKと競合で詰めきれず
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2017年12月1日号
5月17日付の朝日新聞朝刊がすべてを物語っていた。 1面のトップに刺激的な見出しが躍る。「新学部『総理の意向』加計学園計画 文科省に記録文書 内閣府、早期対応求める」 国家戦略特区諮問会議が、安倍晋三首相の知人が経営する加計学園の獣医学部新設を認める過程で、最短のスケジュールで進めるのは「総理の意向」であり、「これは官邸の最高レベルが言っていること」など、安倍首相の関与を仄めかす文言が文部科学省の文書に記録されていたことを報じる特ダネだ。 だが、私は違和感を抱いた。特ダネにしては「薄い」 この記事が掲載されたのは締め切りの最も遅い14版だけのようだ。調査報道で大きな特ダネを放つ場合、14版だけ掲載するケースはなくはない。締め切りの早い早版から掲載すると、他紙に漏れてしまう危険性があるからだ。 だが、満を持して特ダネを打ったにしては、あまりに...
5月17日付の朝日新聞朝刊がすべてを物語っていた。 1面のトップに刺激的な見出しが躍る。「新学部『総理の意向』加計学園計画 文科省に記録文書 内閣府、早期対応求める」 国家戦略特区諮問会議が、安倍晋三首相の知人が経営する加計学園の獣医学部新設を認める過程で、最短のスケジュールで進めるのは「総理の意向」であり、「これは官邸の最高レベルが言っていること」など、安倍首相の関与を仄めかす文言が文部科学省の文書に記録されていたことを報じる特ダネだ。 だが、私は違和感を抱いた。特ダネにしては「薄い」 この記事が掲載されたのは締め切りの最も遅い14版だけのようだ。調査報道で大きな特ダネを放つ場合、14版だけ掲載するケースはなくはない。締め切りの早い早版から掲載すると、他紙に漏れてしまう危険性があるからだ。 だが、満を持して特ダネを打ったにしては、あまりに内容
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