再生医療製品「心筋シート」の疑義
「iPS細胞」での挑戦は可能なのか
2017年12月15日号
テルモが販売する再生医療製品「ハートシート」の先行きに暗雲が立ち込めている。16年5月、この製品は重症心不全の革新的な治療法として発売された。しかし、最近の学会発表によると、製品化前の臨床研究で、重症心不全で効くのはごく一部に過ぎず、使用後に症状が悪化した患者までいることがわかってきた。 ハートシートは、大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授(心臓血管外科)が研究する「筋芽細胞シート」をもとに開発された。澤教授の研究チームは、このシートを35人に移植。重症心不全に「効果がある」と判断、製品化をめざした。ハートシートは、患者の大腿部から採取した筋肉細胞の骨格筋芽細胞をシート状に培養。心臓に外科手術で直接貼り付けることで、弱った心機能の回復を促す。 心臓移植を待つしか術がない重症な心不全患者にとっては、まさに朗報の治療法で、ハートシートを共同...
テルモが販売する再生医療製品「ハートシート」の先行きに暗雲が立ち込めている。16年5月、この製品は重症心不全の革新的な治療法として発売された。しかし、最近の学会発表によると、製品化前の臨床研究で、重症心不全で効くのはごく一部に過ぎず、使用後に症状が悪化した患者までいることがわかってきた。 ハートシートは、大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授(心臓血管外科)が研究する「筋芽細胞シート」をもとに開発された。澤教授の研究チームは、このシートを35人に移植。重症心不全に「効果がある」と判断、製品化をめざした。ハートシートは、患者の大腿部から採取した筋肉細胞の骨格筋芽細胞をシート状に培養。心臓に外科手術で直接貼り付けることで、弱った心機能の回復を促す。 心臓移植を待つしか術がない重症な心不全患者にとっては、まさに朗報の治療法で、ハートシートを共同開発
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