医薬経済オンライン

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移植医・大島伸一回顧録

先進医療

第12回

ノンフィクション・ライター 髙橋幸春

2017年12月15日号

 97年の日本臓器移植ネットワークの成立は、愛知方式の終焉にもつながった。日本全国で提供された臓器を公平に分配するという仕組みは、ドナーからの臓器摘出を手掛けた病院に、まず移植手術の優先権を与えるという愛知県のやり方とは異なるものだったからだ。 この愛知方式を採用していた東海腎臓バンクほど組織的ではなかったにしろ、移植に情熱を傾け、患者を救おうとしていた医師は各地にいた。当時、愛媛県の市立宇和島病院に在籍していた万波誠らも、移植臓器の提供を求め、その腎臓を慢性腎不全患者に移植していた。 しかし、臓器移植ネットワークの成立で、移植に熱心な医師がいた地域、移植を行ってきた病院ほど、相対的に移植件数が減ってしまうという皮肉な現実に直面した。 そうした現実があったからこそ、万波や彼と志をともにする瀬戸内グループと呼ばれた医師たちによって、修復腎移...  97年の日本臓器移植ネットワークの成立は、愛知方式の終焉にもつながった。日本全国で提供された臓器を公平に分配するという仕組みは、ドナーからの臓器摘出を手掛けた病院に、まず移植手術の優先権を与えるという愛知県のやり方とは異なるものだったからだ。 この愛知方式を採用していた東海腎臓バンクほど組織的ではなかったにしろ、移植に情熱を傾け、患者を救おうとしていた医師は各地にいた。当時、愛媛県の市立宇和島病院に在籍していた万波誠らも、移植臓器の提供を求め、その腎臓を慢性腎不全患者に移植していた。 しかし、臓器移植ネットワークの成立で、移植に熱心な医師がいた地域、移植を行ってきた病院ほど、相対的に移植件数が減ってしまうという皮肉な現実に直面した。 そうした現実があったからこそ、万波や彼と志をともにする瀬戸内グループと呼ばれた医師たちによって、修復腎移植が

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