時流遡航
哲学の脇道遊行記―その概観考察
第4回 ─ホワイトヘッドの著書の翻訳文が抱える問題─
本田成親
2018年2月15日号
2月1日号などで紹介した『思考の諸様態』(Modes of Thought)という和訳書の翻訳文の問題点について詳しく述べる前に、その原作者、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861~1947年)の人物像を少しばかり紹介しておきましょう。 もともとはトポロジー(位相幾何学)を専攻する英国ケンブリッジ大学の数学者だったホワイトヘッドは、同じくケンブリッジ大の若手数学者だった後輩のバートランド・ラッセルと共同研究をするようになり、やがて2人は数理哲学分野に専攻を転じました。そして、階層理論(タイプ理論)などを論じた基礎論理学上の高名な論著『数学原理』(プリンキピア・マセマティカ)を世に送り出したのでした。 ラッセルは『追憶の肖像』(Portraits from Memory)という回想録で、「それまで数学に見るような明晰さや明証性こそが世界の本質だとひたすら信じていた若...
2月1日号などで紹介した『思考の諸様態』(Modes of Thought)という和訳書の翻訳文の問題点について詳しく述べる前に、その原作者、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861~1947年)の人物像を少しばかり紹介しておきましょう。 もともとはトポロジー(位相幾何学)を専攻する英国ケンブリッジ大学の数学者だったホワイトヘッドは、同じくケンブリッジ大の若手数学者だった後輩のバートランド・ラッセルと共同研究をするようになり、やがて2人は数理哲学分野に専攻を転じました。そして、階層理論(タイプ理論)などを論じた基礎論理学上の高名な論著『数学原理』(プリンキピア・マセマティカ)を世に送り出したのでした。 ラッセルは『追憶の肖像』(Portraits from Memory)という回想録で、「それまで数学に見るような明晰さや明証性こそが世界の本質だとひたすら信じていた若き
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