医薬経済オンライン

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読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー

土台となる「エンパワーメント」(下)

第91回

鍛冶孝雄

2018年2月15日号

 2月1日号に続き、マイケル・マーモットの『健康格差』(日本評論社、17年8月刊、監訳者・栗林寛幸、訳者代表・野田浩夫)を読む。「不平等な世界への挑戦」との副題がついた同書の著者、マーモットは英国医師会長、世界医師会長を務め、公衆衛生学界では高名な人物である。今回は、マーモットの語る「社会的勾配」「原因の原因」「エンパワーメント」の3点を主要なキーワードに読み進める。 マーモットは、05年に世界保健機関(WHO)が設置した「健康の社会的決定要因委員会」(CSDH)の委員長を務めた。同書では、彼の研究の総体を示す意味から、SDH(健康の社会的決定要因)という言葉が本流で、モットーも示されている。それは「一世代のうちに格差をなくそう」だ。大変困難なチャレンジであることは論を俟たないし、世界的な視野で見ると、リアリティも強くは感じない。ただ、誰か...  2月1日号に続き、マイケル・マーモットの『健康格差』(日本評論社、17年8月刊、監訳者・栗林寛幸、訳者代表・野田浩夫)を読む。「不平等な世界への挑戦」との副題がついた同書の著者、マーモットは英国医師会長、世界医師会長を務め、公衆衛生学界では高名な人物である。今回は、マーモットの語る「社会的勾配」「原因の原因」「エンパワーメント」の3点を主要なキーワードに読み進める。 マーモットは、05年に世界保健機関(WHO)が設置した「健康の社会的決定要因委員会」(CSDH)の委員長を務めた。同書では、彼の研究の総体を示す意味から、SDH(健康の社会的決定要因)という言葉が本流で、モットーも示されている。それは「一世代のうちに格差をなくそう」だ。大変困難なチャレンジであることは論を俟たないし、世界的な視野で見ると、リアリティも強くは感じない。ただ、誰かが「

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