読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
老化の中から生まれる誤解を解く
第92回
鍛冶孝雄
2018年3月1日号
路線バスの旅を題材にしたテレビ番組が人気を集めていると聞く。私も路線バスに乗るのが好きだ。大学生の頃、正月などに帰省、再上京したときには、東京駅丸の内口側のバス停から板橋区のアパートまで利用した。アパートは東京駅前始発のバスの終点から1分もかからないところにあった。郷里の即席ラーメンなど大荷物を運ぶのにも便利だった。板橋区から練馬区のアパートへ移るときも路線バスと電車で、複数回往復し、自力で引っ越した。当時の学生の家具など、その程度で足りた。 2年目の初夏、東京駅まで乗ったときのこと。大雨が降っている日で、途中のバス停から和服姿の高齢の女性が乗車した。車内はがら空き。女性が座るまで待つため、バスはなかなか発車しない。下駄を履いた彼女は、立ったまま濡れた傘を畳もうとし、運転手の座ってくれという何度もの声を無視。痺れを切らした運転手がその...
路線バスの旅を題材にしたテレビ番組が人気を集めていると聞く。私も路線バスに乗るのが好きだ。大学生の頃、正月などに帰省、再上京したときには、東京駅丸の内口側のバス停から板橋区のアパートまで利用した。アパートは東京駅前始発のバスの終点から1分もかからないところにあった。郷里の即席ラーメンなど大荷物を運ぶのにも便利だった。板橋区から練馬区のアパートへ移るときも路線バスと電車で、複数回往復し、自力で引っ越した。当時の学生の家具など、その程度で足りた。 2年目の初夏、東京駅まで乗ったときのこと。大雨が降っている日で、途中のバス停から和服姿の高齢の女性が乗車した。車内はがら空き。女性が座るまで待つため、バスはなかなか発車しない。下駄を履いた彼女は、立ったまま濡れた傘を畳もうとし、運転手の座ってくれという何度もの声を無視。痺れを切らした運転手がそのまま
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