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医政羅針盤

終末期医療と「死生論」の問い

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2018年3月15日号

 1月21日に思想家の西部邁先生が「自裁死」を遂げた。私はこれまで20年以上にわたり、先生にこのうえなくお世話になった。あまりの影響の大きさゆえ、近づき過ぎず、しかし離れ過ぎることもなく、意識的に微妙な距離を取ってはいたが、我が人生に決定的な影響を与えた方であった。 先生が「自裁死」するということは、最近頻繁に口にされていたけれども、そもそも20年以上前から何度も述べておられた話だ。その考えは94年出版の『死生論』をはじめとして、多くの著書のなかで繰り返し記されている。 それゆえ、先生の訃報を知ったとき、「もう会えない」という寂しさはあったものの、驚きはまったくなかったし、2日後に渋谷区の葬儀場でお別れの対面をしたときにも、心のなかで「先生、思想を完結されましたね」と声を掛けた。 思い出を含めた私なりの西部邁論は、原稿用紙15枚程度のものではある...  1月21日に思想家の西部邁先生が「自裁死」を遂げた。私はこれまで20年以上にわたり、先生にこのうえなくお世話になった。あまりの影響の大きさゆえ、近づき過ぎず、しかし離れ過ぎることもなく、意識的に微妙な距離を取ってはいたが、我が人生に決定的な影響を与えた方であった。 先生が「自裁死」するということは、最近頻繁に口にされていたけれども、そもそも20年以上前から何度も述べておられた話だ。その考えは94年出版の『死生論』をはじめとして、多くの著書のなかで繰り返し記されている。 それゆえ、先生の訃報を知ったとき、「もう会えない」という寂しさはあったものの、驚きはまったくなかったし、2日後に渋谷区の葬儀場でお別れの対面をしたときにも、心のなかで「先生、思想を完結されましたね」と声を掛けた。 思い出を含めた私なりの西部邁論は、原稿用紙15枚程度のものではあるが、

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