医薬経済オンライン

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薬剤経済学

開発費の高騰は臨床開発自己費用と失敗

第4回 新薬開発の様相

2018年3月15日号

 新薬開発に関わる困惑は、科学的、技術的な進歩がR&D効率の改善に結び付いていないことである。化学者が合成する分子数は800倍、ゲノム・シークエンスは10億倍、X線結晶学による3次元プロテインの構造計算に要する人手は最低3ケタ減で、標的プロテインの成分検査費用は10分の1に減り、遺伝子移植マウスなどの新技術と疾患メカニズムの解明も飛躍的に進んだ。しかし強力なツールから得た薬剤候補は却って失敗しやすく、総開発費を押し上げている。 新薬開発の状況は、半導体の加速的な革新の経験則を表わす「ムーアの法則」の対極にある。「イールームの法則」(Mooreの逆スペル)でこれを論じたJ.W.スキャンネル(オックスフォード大学)らは、スクリーニングと疾患モデルの予測可能性が消耗し、予測しにくい疾患領域にシフトした結果、有効で信頼できるモデルが減ったと分析す...  新薬開発に関わる困惑は、科学的、技術的な進歩がR&D効率の改善に結び付いていないことである。化学者が合成する分子数は800倍、ゲノム・シークエンスは10億倍、X線結晶学による3次元プロテインの構造計算に要する人手は最低3ケタ減で、標的プロテインの成分検査費用は10分の1に減り、遺伝子移植マウスなどの新技術と疾患メカニズムの解明も飛躍的に進んだ。しかし強力なツールから得た薬剤候補は却って失敗しやすく、総開発費を押し上げている。 新薬開発の状況は、半導体の加速的な革新の経験則を表わす「ムーアの法則」の対極にある。「イールームの法則」(Mooreの逆スペル)でこれを論じたJ.W.スキャンネル(オックスフォード大学)らは、スクリーニングと疾患モデルの予測可能性が消耗し、予測しにくい疾患領域にシフトした結果、有効で信頼できるモデルが減ったと分析する(

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