審査建言
高齢者から始まった医薬品適正使用の強化
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団理事長 土井脩
2018年5月15日号
医薬品の適正使用が重要であるのは、93年に旧厚生省の「21世紀の医薬品のあり方懇談会」の報告書で提言され、省内に医薬品適正使用推進室が設けられたことで一目瞭然だろう。報告書がまとめられた直後に、抗がん剤との併用が原因であるソリブジン事件が起きたこともあり、適正使用の重要性が社会的に認識された。 使用方法を間違えると重篤な副作用につながるような不適正使用については注意喚起が行われている。しかし、高齢者や精神科領域などにおける多剤投与などに関しては、問題があることは指摘されながらも、「個々の医薬品」の問題ではないこともあって、なかなか改善されてこなかった。 多剤投与を考えるときに大事なのは、その内容を明確にすることである。精神科領域における多剤投与や長期連用は、ベンゾジアゼピン系の薬剤などによる依存や中止時の離脱症状の発現など、直接患者の健康...
医薬品の適正使用が重要であるのは、93年に旧厚生省の「21世紀の医薬品のあり方懇談会」の報告書で提言され、省内に医薬品適正使用推進室が設けられたことで一目瞭然だろう。報告書がまとめられた直後に、抗がん剤との併用が原因であるソリブジン事件が起きたこともあり、適正使用の重要性が社会的に認識された。 使用方法を間違えると重篤な副作用につながるような不適正使用については注意喚起が行われている。しかし、高齢者や精神科領域などにおける多剤投与などに関しては、問題があることは指摘されながらも、「個々の医薬品」の問題ではないこともあって、なかなか改善されてこなかった。 多剤投与を考えるときに大事なのは、その内容を明確にすることである。精神科領域における多剤投与や長期連用は、ベンゾジアゼピン系の薬剤などによる依存や中止時の離脱症状の発現など、直接患者の健康被害
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