医薬経済オンライン

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読む医療—医師が書いた本の斜め読み—

抗生物質が常在細菌を攪乱する

第97回

鍛冶孝雄

2018年5月15日号

 ある本に誘われる、書棚から取り出す、読んでみようかと考えるのは、その書籍のタイトルが魅力的かどうか。著者の作品世界にある程度の認識と確立した印象がある場合も多いが、著者に関する知識がないときにはやはりタイトルから一定の推測が働くのは当然だ。 ただ選び出す際の動機は単純ではない。何かを知りたい、学びたいこともあれば、楽しい世界に連れて行ってもらえるのではないか、見たこともない世界が現出するのではないかという期待もある。読書子の私の大きな動機には「怖いもの見たさ」もある。今回の読書は、タイトルとサブタイトルで、「怖いもの見たさ」がくすぐられた。精神的棄損も包括するテーマ 選んだ本は『抗生物質と人間』(岩波新書、17年9月刊)、サブタイトルは「マイクロバイオームの危機」である。著者の山本太郎氏は長崎大学熱帯医学研究所教授、感染症学の世界で著名...  ある本に誘われる、書棚から取り出す、読んでみようかと考えるのは、その書籍のタイトルが魅力的かどうか。著者の作品世界にある程度の認識と確立した印象がある場合も多いが、著者に関する知識がないときにはやはりタイトルから一定の推測が働くのは当然だ。 ただ選び出す際の動機は単純ではない。何かを知りたい、学びたいこともあれば、楽しい世界に連れて行ってもらえるのではないか、見たこともない世界が現出するのではないかという期待もある。読書子の私の大きな動機には「怖いもの見たさ」もある。今回の読書は、タイトルとサブタイトルで、「怖いもの見たさ」がくすぐられた。精神的棄損も包括するテーマ 選んだ本は『抗生物質と人間』(岩波新書、17年9月刊)、サブタイトルは「マイクロバイオームの危機」である。著者の山本太郎氏は長崎大学熱帯医学研究所教授、感染症学の世界で著名な医

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