医政羅針盤
民間保険活用による「二階建て」論の陥穽
山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰
2018年6月1日号
最近、再生医療などの医療技術の進歩や相次ぐ高額薬剤の登場に対して、民間保険の活用により対応すべきとの主張が出ている。これらの高額な治療を公的保険の給付範囲から除外し、民間保険で対応することにより、公的保険と民間保険との言わば「二階建て」の制度設計を構想する考え方だ。こうした議論は、いわゆる混合診療解禁問題などでも繰り返し登場してきたが、医療の技術進歩と国民皆保険の堅持をいかにして両立するかが論議されるなか、自民党の医系議員の一部などからも提案されるようになっている。 民間保険の活用が話題になったことがかつてあった。例えば、坪井栄孝会長時代の00年8月に日本医師会が発表した『2015年医療のグランドデザイン』で、「自立投資」という概念が提案されたことがある。「自立投資」とは「公的保険の枠組みとしての互助・自助・公助とは別の『自立』、すなわ...
最近、再生医療などの医療技術の進歩や相次ぐ高額薬剤の登場に対して、民間保険の活用により対応すべきとの主張が出ている。これらの高額な治療を公的保険の給付範囲から除外し、民間保険で対応することにより、公的保険と民間保険との言わば「二階建て」の制度設計を構想する考え方だ。こうした議論は、いわゆる混合診療解禁問題などでも繰り返し登場してきたが、医療の技術進歩と国民皆保険の堅持をいかにして両立するかが論議されるなか、自民党の医系議員の一部などからも提案されるようになっている。 民間保険の活用が話題になったことがかつてあった。例えば、坪井栄孝会長時代の00年8月に日本医師会が発表した『2015年医療のグランドデザイン』で、「自立投資」という概念が提案されたことがある。「自立投資」とは「公的保険の枠組みとしての互助・自助・公助とは別の『自立』、すなわち自
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