医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

時流遡航

哲学の脇道遊行記―その概観考察

第11回─実存主義哲学の地平を垣間見る─

本田成親

2018年6月1日号

 人間というものはつくづく無知なものだと思いますが、またそれゆえにこそ多少なりとも哲学的素養が必要にもなってくるのです。ただ、その一方で、無知無力なるがゆえの諦めや絶望の境地の反動とも言える人間の開き直りというものには、再生にもつながる強(したた)かな生命力が秘め隠されてもいます。「不条理の哲学」を自らの文学作品のテーマに据えたフランスのノーベル賞作家アルベール・カミュは、『異邦人』や『ペスト』といった小説や戯曲『カリギュラ』などを執筆し、不条理な運命に反抗しそこからの解放を画策する人間の不屈さを説き描きました。また、そんなカミュには、不条理な世界を象徴的に描いた「シジフォスの神話」というエッセイ風の評論がありました。学生時代にカミュ作品を読み漁った私は、その著作のことを懐かしく思い出しもします。 シジフォスはギリシャ神話の中に登場する...  人間というものはつくづく無知なものだと思いますが、またそれゆえにこそ多少なりとも哲学的素養が必要にもなってくるのです。ただ、その一方で、無知無力なるがゆえの諦めや絶望の境地の反動とも言える人間の開き直りというものには、再生にもつながる強(したた)かな生命力が秘め隠されてもいます。「不条理の哲学」を自らの文学作品のテーマに据えたフランスのノーベル賞作家アルベール・カミュは、『異邦人』や『ペスト』といった小説や戯曲『カリギュラ』などを執筆し、不条理な運命に反抗しそこからの解放を画策する人間の不屈さを説き描きました。また、そんなカミュには、不条理な世界を象徴的に描いた「シジフォスの神話」というエッセイ風の評論がありました。学生時代にカミュ作品を読み漁った私は、その著作のことを懐かしく思い出しもします。 シジフォスはギリシャ神話の中に登場する人物

有料会員限定

会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください

【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)

googleAdScence