一筆入魂
悪質タックル問題での「事実認定」の曖昧さ
「不自然」「合理的」で真実は見えるのか
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2018年6月15日号
事実を見極めることは難しい。人を断罪するときは、なおさらだ。私たちが書く1本の記事が、その人の一生を左右しかねないからだ。 一方では不祥事を招いた人物が隠ぺいにかかったとき、それを覆す証拠や証言を積み重ねていくのは至難の業だ。疑いが濃厚であっても、事実を確定できずに追いかけていたネタを諦めたことは数知れない。 何度も失敗を繰り返してきた私が辿り着いた原点は、「事実への謙虚さ」だ。 日本大と関西学院大のアメリカンフットボール定期戦での悪質タックル問題で、関東学生連盟は5月29日に記者会見を開き、内田正人前監督と井上奨前コーチを除名とする厳しい処分案を公表した。 その記者会見を何度も聞き直しているが、どうも釈然としない。私自身、首脳陣の証言は断片的で一貫性がないから、選手の言い分を信じたいが、事実にこだわることを生業とする私たちジャーナリス...
事実を見極めることは難しい。人を断罪するときは、なおさらだ。私たちが書く1本の記事が、その人の一生を左右しかねないからだ。 一方では不祥事を招いた人物が隠ぺいにかかったとき、それを覆す証拠や証言を積み重ねていくのは至難の業だ。疑いが濃厚であっても、事実を確定できずに追いかけていたネタを諦めたことは数知れない。 何度も失敗を繰り返してきた私が辿り着いた原点は、「事実への謙虚さ」だ。 日本大と関西学院大のアメリカンフットボール定期戦での悪質タックル問題で、関東学生連盟は5月29日に記者会見を開き、内田正人前監督と井上奨前コーチを除名とする厳しい処分案を公表した。 その記者会見を何度も聞き直しているが、どうも釈然としない。私自身、首脳陣の証言は断片的で一貫性がないから、選手の言い分を信じたいが、事実にこだわることを生業とする私たちジャーナリストに
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