医薬経済オンライン

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間違いだらけのHTA

認知症治療薬「保険外し」で決着したフランス

第36回

東京大学大学院薬学系研究科 五十嵐中

2018年7月1日号

 今号ではISPOR10大トレンドの後半を扱う予定だったが、6月1日にフランス保健省がアルツハイマー型認知症(AD)治療薬を保険から外す決定を下した。16年12月号でも触れた話題が大きく動き、一般メディアでも報じられた。今回はこの動きを詳説したい。フランスのHTA機関HASは、無治療と比較した有効性・安全性 (絶対的有用性)の尺度SMRと、既存治療と比較した有効性・安全性 (追加的有用性)の尺度ASMRを定める。SMRに基づいて保険償還割合が決まり、ASMRに基づいた交渉で給付価格が決まる。 今回「保険外し」の要因となったのはSMRで、最低ランクの「不十分」と判断されたことが決定につながった。SMRやASMRは臨床的な有効性・安全性のみで決まるので、「費用対効果が悪いから」ではなく、「臨床的有用性に乏しいから保険から外される」のだ。 フランスで...  今号ではISPOR10大トレンドの後半を扱う予定だったが、6月1日にフランス保健省がアルツハイマー型認知症(AD)治療薬を保険から外す決定を下した。16年12月号でも触れた話題が大きく動き、一般メディアでも報じられた。今回はこの動きを詳説したい。フランスのHTA機関HASは、無治療と比較した有効性・安全性 (絶対的有用性)の尺度SMRと、既存治療と比較した有効性・安全性 (追加的有用性)の尺度ASMRを定める。SMRに基づいて保険償還割合が決まり、ASMRに基づいた交渉で給付価格が決まる。 今回「保険外し」の要因となったのはSMRで、最低ランクの「不十分」と判断されたことが決定につながった。SMRやASMRは臨床的な有効性・安全性のみで決まるので、「費用対効果が悪いから」ではなく、「臨床的有用性に乏しいから保険から外される」のだ。 フランスで「ア

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