読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
同等性と代替の攻防ヒストリー(上)
第100回
鍛冶孝雄
2018年7月1日号
読書子の私は、長く医薬医療関連の専門報道に携わってきた。70年代から始まった取材記者活動を通じてこの40年以上の推移を改めて見返してみると、医薬の世界も医療の世界もかなり様変わりした。医学の急速でドラスティックな進歩がその要因であるし、それによってもたらされた消費財としての医薬医療が抜き差しならない社会経済的な影響を脹らませ、将来もそれが続く予感が消えない。医学の革新・進歩は費用の予想を超える爆発的な増大を生み出し、国内では費用を抑制する医療機能も求められるようになった。 その象徴が「ジェネリック医薬品」である。日本では、70~80年代にはジェネリック医薬品は「ゾロ」と呼ばれ、それは品質の低劣な医薬品であり、一部医療機関の経営原資の一環であり、誰もが進んで手に取りたい医薬品というイメージではなかった。それゆえに、薬価基準に銘柄別収載制度が導入...
読書子の私は、長く医薬医療関連の専門報道に携わってきた。70年代から始まった取材記者活動を通じてこの40年以上の推移を改めて見返してみると、医薬の世界も医療の世界もかなり様変わりした。医学の急速でドラスティックな進歩がその要因であるし、それによってもたらされた消費財としての医薬医療が抜き差しならない社会経済的な影響を脹らませ、将来もそれが続く予感が消えない。医学の革新・進歩は費用の予想を超える爆発的な増大を生み出し、国内では費用を抑制する医療機能も求められるようになった。 その象徴が「ジェネリック医薬品」である。日本では、70~80年代にはジェネリック医薬品は「ゾロ」と呼ばれ、それは品質の低劣な医薬品であり、一部医療機関の経営原資の一環であり、誰もが進んで手に取りたい医薬品というイメージではなかった。それゆえに、薬価基準に銘柄別収載制度が導入され
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