平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜
低下する陸上自衛隊の救護能力
第56回
愛知医科大学 非常勤講師 照井資規
2018年7月15日号
前回7月1日号で、自衛隊では有事緊急救命処置として「輪状甲状靱帯切開・穿刺」を准看護師と救急救命士の両方の資格を持つ自衛隊衛生科隊員に教育するようになったが、現在、世界では輪状甲状靱帯穿刺は行っていないこと、自衛隊は第一線の救命教育において遅れをとっていることを書いた。早速、反響があり、有事緊急救命処置として輪状甲状靱帯切開を教育するものの、縫合によるカニューレ(管)の固定と密閉を許可・教育していないので、傷病者の輸送時にカニューレが外れてしまう恐れがあることに加え、密閉度が低いと不潔な空気が声門下に入り込むため、その場では命が助かっても後に肺炎になるリスクが高まるといった指摘が寄せられた。自衛隊の救命のためのさまざまな施策は、第一線の救命の実現には焦点が当てられていないことがわかる。6月26日午後、富山市の富山中央署奥田交番で警察官が刺...
前回7月1日号で、自衛隊では有事緊急救命処置として「輪状甲状靱帯切開・穿刺」を准看護師と救急救命士の両方の資格を持つ自衛隊衛生科隊員に教育するようになったが、現在、世界では輪状甲状靱帯穿刺は行っていないこと、自衛隊は第一線の救命教育において遅れをとっていることを書いた。早速、反響があり、有事緊急救命処置として輪状甲状靱帯切開を教育するものの、縫合によるカニューレ(管)の固定と密閉を許可・教育していないので、傷病者の輸送時にカニューレが外れてしまう恐れがあることに加え、密閉度が低いと不潔な空気が声門下に入り込むため、その場では命が助かっても後に肺炎になるリスクが高まるといった指摘が寄せられた。自衛隊の救命のためのさまざまな施策は、第一線の救命の実現には焦点が当てられていないことがわかる。6月26日午後、富山市の富山中央署奥田交番で警察官が刺殺さ
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