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医政羅針盤

医師の「働き方改革」と医療提供体制改革

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2018年8月1日号

 社会全体で「働き方改革」が大きなテーマとなるなか、勤務医の過重労働のうえに成り立ってきた医療界でも、「働き方改革」への対応のあり方が問われている。 かつて、11年5月18日の中央社会保険医療協議会総会に7人の診療側委員全員と専門委員のうちの2人が連名で、「わが国の医療についての基本資料」を提出し、問題提起を行ったことがある。この資料の作成には私の講座が協力させていただいたが、そのなかに、日本の勤務医が欧州の勤務医並みの勤務時間になった場合の機械的な試算が示されている。 それによると、日本の平均70.6時間勤務が欧州並みの勤務時間である48時間になった場合、病院を受診する1日あたりの患者数でみると、在院患者で41.9万人(うち、救急搬送は3.7万人)、外来患者で45.3万人(うち、救急搬送は0.1万人)が診療できなくなる。つまり、対応不可能な救急搬送患者...  社会全体で「働き方改革」が大きなテーマとなるなか、勤務医の過重労働のうえに成り立ってきた医療界でも、「働き方改革」への対応のあり方が問われている。 かつて、11年5月18日の中央社会保険医療協議会総会に7人の診療側委員全員と専門委員のうちの2人が連名で、「わが国の医療についての基本資料」を提出し、問題提起を行ったことがある。この資料の作成には私の講座が協力させていただいたが、そのなかに、日本の勤務医が欧州の勤務医並みの勤務時間になった場合の機械的な試算が示されている。 それによると、日本の平均70.6時間勤務が欧州並みの勤務時間である48時間になった場合、病院を受診する1日あたりの患者数でみると、在院患者で41.9万人(うち、救急搬送は3.7万人)、外来患者で45.3万人(うち、救急搬送は0.1万人)が診療できなくなる。つまり、対応不可能な救急搬送患者は

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