医薬経済オンライン

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現場が望む社会保障制度

曖昧な「地域共生社会」を考える

第39回

ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳

2018年8月1日号

 ほとんど知らない分野の学問を持ち出して恐縮だが、言語学では「プラスチックワード」という概念があるという。もともとが学術用語なのに、実際に使われる場面では極めて広い応用範囲(使用領域)を持ち、次々とプラスチックのようにかたちを変えられるのに、軽量で中身が貧弱な言葉を指す(ペルクゼン『プラスチックワード』、定義は左図下を参照)。 これを医療・介護・福祉政策に関する厚生労働省の説明に当て嵌めると、かなり符合していないだろうか。例えば、18年度同時改定に際して耳にした「地域包括ケアが最大のポイント」という説明で考えると、本来は「◎強く関係あり」「○関係あり」「△やや関係あり」「×関係なし」といったかたちで、膨大な資料の項目ごとに地域包括ケアとの関係度合いを整理しなければならない。 だが、こうした資料を寡聞にして見たことがなく、広い応用範囲で使われて...  ほとんど知らない分野の学問を持ち出して恐縮だが、言語学では「プラスチックワード」という概念があるという。もともとが学術用語なのに、実際に使われる場面では極めて広い応用範囲(使用領域)を持ち、次々とプラスチックのようにかたちを変えられるのに、軽量で中身が貧弱な言葉を指す(ペルクゼン『プラスチックワード』、定義は左図下を参照)。 これを医療・介護・福祉政策に関する厚生労働省の説明に当て嵌めると、かなり符合していないだろうか。例えば、18年度同時改定に際して耳にした「地域包括ケアが最大のポイント」という説明で考えると、本来は「◎強く関係あり」「○関係あり」「△やや関係あり」「×関係なし」といったかたちで、膨大な資料の項目ごとに地域包括ケアとの関係度合いを整理しなければならない。 だが、こうした資料を寡聞にして見たことがなく、広い応用範囲で使われている

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