読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
アジテーションではなく「ガイダンス」
第103回
鍛冶孝雄
2018年8月15日号
医療の世界で「崩壊」という言葉が盛んに使われているという印象を持つ人は、読書子の私だけではないはずだ。「医療崩壊」という言葉を事新しく説明することの意味はない。しかし、00年以降の社会保障、とりわけ医療をめぐる問題に関する認識を語るうえで、「崩壊」ないしは「崩壊しかけている」ことを端的に表現している点では、一つひとつのテーマを語るときの枕詞としては最適かもしれない。 私の独断だが、「崩壊」を象徴的に印象付けたのは、「立ち去り型サボタージュ」が生み出された具体的な環境背景との連絡だと思う。医療現場には医師が必要だが、その医師が現場からいなくなり始めているという告発的な証言が「崩壊」を補完した。 今回の読書は、その「崩壊」がタイトルになっている本。吉田静雄著『病院崩壊』(幻冬舎)。17年5月末に刊行されたが、1年あまりしか経っていないのに、医...
医療の世界で「崩壊」という言葉が盛んに使われているという印象を持つ人は、読書子の私だけではないはずだ。「医療崩壊」という言葉を事新しく説明することの意味はない。しかし、00年以降の社会保障、とりわけ医療をめぐる問題に関する認識を語るうえで、「崩壊」ないしは「崩壊しかけている」ことを端的に表現している点では、一つひとつのテーマを語るときの枕詞としては最適かもしれない。 私の独断だが、「崩壊」を象徴的に印象付けたのは、「立ち去り型サボタージュ」が生み出された具体的な環境背景との連絡だと思う。医療現場には医師が必要だが、その医師が現場からいなくなり始めているという告発的な証言が「崩壊」を補完した。 今回の読書は、その「崩壊」がタイトルになっている本。吉田静雄著『病院崩壊』(幻冬舎)。17年5月末に刊行されたが、1年あまりしか経っていないのに、医療を
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