時感存在 今年初め、親しい友人ががんに見舞われるという現実に直面し、とても動揺した。ただ、不幸中の幸いと言うべきか、春先に受けたという化学療法で副作用に苦しんだものの、比較的早く仕事にも復帰できたらしい。 昔から人当たりがあまりよくない私にとって、彼は唯一といっていい古くからの親友である。同世代のほかの友人の多くは、今では直接連絡を取り合うこともなく、最近の消息を知るのはこの彼を通じて、ということがほとんどだった。私がしばらく日本を離れていることも、仮に友人たちが知っているとすれば、酒の場かなにかで彼が思い出したように私の話題に触れるということでもなければ、たぶん伝わっていない。 今さらながら、私の人間関係の一定部分は、彼という存在を抜きにしては語れないということを実感する。手前勝手で、なにより縁起でもない話なのだが、彼が死んでしまうと...
時感存在 今年初め、親しい友人ががんに見舞われるという現実に直面し、とても動揺した。ただ、不幸中の幸いと言うべきか、春先に受けたという化学療法で副作用に苦しんだものの、比較的早く仕事にも復帰できたらしい。 昔から人当たりがあまりよくない私にとって、彼は唯一といっていい古くからの親友である。同世代のほかの友人の多くは、今では直接連絡を取り合うこともなく、最近の消息を知るのはこの彼を通じて、ということがほとんどだった。私がしばらく日本を離れていることも、仮に友人たちが知っているとすれば、酒の場かなにかで彼が思い出したように私の話題に触れるということでもなければ、たぶん伝わっていない。 今さらながら、私の人間関係の一定部分は、彼という存在を抜きにしては語れないということを実感する。手前勝手で、なにより縁起でもない話なのだが、彼が死んでしまうと、私
有料会員限定
会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください
【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)
ログイン
会員登録