一筆入魂
1軒のボランティア、響いたトンカチの音
3.11の絆が西日本豪雨でつながる
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2018年8月15日号
気仙沼薬剤師会の武田雄高会長(42)は、ジリジリしていた。 西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県や広島県へ薬剤師として応援に行きたいが、日本薬剤師会からの派遣要請はない。避難所暮らしを強いられる住民の辛苦は痛いほどわかっているつもりだ。 7年前の11年3月11日の東日本大震災で、気仙沼市内にある武田さんの薬局も津波で1メートルほど浸水する被害を受けた。だが、武田さんは自分の薬局の再建を後回しにして、地域のために奔走した。 津波に浸かってダメになった車の代わりに、被災4日後には盛岡市に出向いて中古のランドクルーザーを購入している。4WDならどんな悪路でも進めるし、何より物資を大量に運ぶことができる。 避難所や自宅の2階で生活する民家を回っては、足りない物資を聞いて支援物資の集積所から探して運んでいく。チェーンソーや犬のエサまで多岐にわたるが...
気仙沼薬剤師会の武田雄高会長(42)は、ジリジリしていた。 西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県や広島県へ薬剤師として応援に行きたいが、日本薬剤師会からの派遣要請はない。避難所暮らしを強いられる住民の辛苦は痛いほどわかっているつもりだ。 7年前の11年3月11日の東日本大震災で、気仙沼市内にある武田さんの薬局も津波で1メートルほど浸水する被害を受けた。だが、武田さんは自分の薬局の再建を後回しにして、地域のために奔走した。 津波に浸かってダメになった車の代わりに、被災4日後には盛岡市に出向いて中古のランドクルーザーを購入している。4WDならどんな悪路でも進めるし、何より物資を大量に運ぶことができる。 避難所や自宅の2階で生活する民家を回っては、足りない物資を聞いて支援物資の集積所から探して運んでいく。チェーンソーや犬のエサまで多岐にわたるが、時
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