鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜
AIでEBMは廃れるのか?患者の人権軽視を危惧する
第69回
鳥集徹
2018年9月1日号
「EBMに関心のある若い医者はむしろ減ってます。エビンデンスとは無関係に上司の言うことをよく聞く人が多くて、保守化していると感じます」 先日、EBMに詳しいがん専門医と話していて、こんな嘆かわしい話を聞いた。 日本の医療にEBMの概念が入って、もう20年近く経ったのではないだろうか。若い医師ほど論文をよく読んで、エビデンスを重視していると思っていた。しかし、実際にはどうやら揺り戻しというか、ドグマに基づく医療が根強く力を持っているようなのだ。 厚生労働省の薬事関係の委員などを務める識者からも、免疫チェックポイント阻害薬などは第Ⅲ相試験の結果を待たずに、早く承認すべきとの声が強まっていると聞いた。今まさに治療を求めている患者を、新薬と偽薬(あるいは従来薬)のどちらに当たるかわからないような二重盲検ランダム化比較試験(RCT)の被験者にするのは...
「EBMに関心のある若い医者はむしろ減ってます。エビンデンスとは無関係に上司の言うことをよく聞く人が多くて、保守化していると感じます」 先日、EBMに詳しいがん専門医と話していて、こんな嘆かわしい話を聞いた。 日本の医療にEBMの概念が入って、もう20年近く経ったのではないだろうか。若い医師ほど論文をよく読んで、エビデンスを重視していると思っていた。しかし、実際にはどうやら揺り戻しというか、ドグマに基づく医療が根強く力を持っているようなのだ。 厚生労働省の薬事関係の委員などを務める識者からも、免疫チェックポイント阻害薬などは第Ⅲ相試験の結果を待たずに、早く承認すべきとの声が強まっていると聞いた。今まさに治療を求めている患者を、新薬と偽薬(あるいは従来薬)のどちらに当たるかわからないような二重盲検ランダム化比較試験(RCT)の被験者にするのは、
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