読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
どこで死ぬかを調整し標準化していいのか
第104回
鍛冶孝雄
2018年9月1日号
いつの頃か「複雑系」という言葉が賑わっていたことがある。一方的な理解だが、世界はカオス(混沌)であることをまず認識し、その塊の中からある種の「解」を見出せないかという問いかけが含まれていたと思う。状況世界が複雑なら、その「解」もすなわち、多様であってもいい。 在宅医療、終末期医療、看取りについて、そのあり方を単線ではなく、複線かあるいは複々線で考え、それを受容することを問いかけた読書を報告したい。医療は最終的に死という不可逆性からは逃れられない。その死から逃れようとしたり、操るような姿勢や態度は、人々を「望むかたち」の最期から遠ざけているのではないかと、今回の読書は語りかける。決して声高ではなく、淡々と、著者自身が「事例と引用文で成り立つ、すなわち事実のみで成立する書物」をつくることを試みたというとおりだが、読後に押し寄せる「解」の存...
いつの頃か「複雑系」という言葉が賑わっていたことがある。一方的な理解だが、世界はカオス(混沌)であることをまず認識し、その塊の中からある種の「解」を見出せないかという問いかけが含まれていたと思う。状況世界が複雑なら、その「解」もすなわち、多様であってもいい。 在宅医療、終末期医療、看取りについて、そのあり方を単線ではなく、複線かあるいは複々線で考え、それを受容することを問いかけた読書を報告したい。医療は最終的に死という不可逆性からは逃れられない。その死から逃れようとしたり、操るような姿勢や態度は、人々を「望むかたち」の最期から遠ざけているのではないかと、今回の読書は語りかける。決して声高ではなく、淡々と、著者自身が「事例と引用文で成り立つ、すなわち事実のみで成立する書物」をつくることを試みたというとおりだが、読後に押し寄せる「解」の存在の
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