平時医療体制の破綻に備える〜電光石火こそ最良の有事医療〜
「命」が見える個人用救急品とは
第60回
愛知医科大学 非常勤講師 照井資規
2018年9月15日号
前回9月1日号で、陸上自衛隊の個人携行救急品の内容品のうち70%が欠陥品で、たった1ヵ所の手足に受けた銃創の止血すらできないこと、救命力はわずか5%程度であることを記した。 その内容品は隊員の救命を追求して選定されたものではないことが明らかで、さらに内容品が増えても、その使用法教育が行われていないばかりか、救急法検定も更新されていない。このことから「与えない、教えない、示さない」の「衛生三悪」は何も改善されていないに等しいのだ。 米軍について言えば、防ぎえた戦闘死のうち、ベトナム戦争ではその33%を緊張性気胸が占めていたが、それから50年後の対テロ戦争時には1%まで減少させている。 この成果は主に教育によって達成された。本格的なチェストシールができて米軍将兵に支給したのは対テロ戦争が終わってからである。針脱気についても、当時行われていた正面...
前回9月1日号で、陸上自衛隊の個人携行救急品の内容品のうち70%が欠陥品で、たった1ヵ所の手足に受けた銃創の止血すらできないこと、救命力はわずか5%程度であることを記した。 その内容品は隊員の救命を追求して選定されたものではないことが明らかで、さらに内容品が増えても、その使用法教育が行われていないばかりか、救急法検定も更新されていない。このことから「与えない、教えない、示さない」の「衛生三悪」は何も改善されていないに等しいのだ。 米軍について言えば、防ぎえた戦闘死のうち、ベトナム戦争ではその33%を緊張性気胸が占めていたが、それから50年後の対テロ戦争時には1%まで減少させている。 この成果は主に教育によって達成された。本格的なチェストシールができて米軍将兵に支給したのは対テロ戦争が終わってからである。針脱気についても、当時行われていた正面アプ
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