製薬業界が「弁当」と向き合う日
提供禁止論のなかで「実食」してみると
2018年10月1日号
10月に入り、紅葉の季節となった。彩られた山々に出かけ、そこで食べる「弁当」は格別においしい。しかし、製薬業界では厄介な代物扱いされつつある。 MRが自社の製品説明会時に医療関係者へ提供する弁当の是非が問われている。メーカー公取協(医療用医薬品製造販売業公正取引協議会)内でも、規約上問題となる事例が増えており、「全面禁止でもいいのではないか」との意見も出ているという。 一般社会にとっては、なぜ製品説明会と弁当が関係するのかと不思議に思うのではないか。これはMRから医師への「気遣い」が背景にある。かつて抗菌薬が売れ筋だった70年代前後、朝食を食べていない若手医師に、MRがおにぎりやみそ汁を用意し、食べている間に自社製品の宣伝と処方を依頼していた。この頃は、接待的な要素は見られず、多忙な医師の邪魔をしてはいけないという一心だったのだろう。しか...
10月に入り、紅葉の季節となった。彩られた山々に出かけ、そこで食べる「弁当」は格別においしい。しかし、製薬業界では厄介な代物扱いされつつある。 MRが自社の製品説明会時に医療関係者へ提供する弁当の是非が問われている。メーカー公取協(医療用医薬品製造販売業公正取引協議会)内でも、規約上問題となる事例が増えており、「全面禁止でもいいのではないか」との意見も出ているという。 一般社会にとっては、なぜ製品説明会と弁当が関係するのかと不思議に思うのではないか。これはMRから医師への「気遣い」が背景にある。かつて抗菌薬が売れ筋だった70年代前後、朝食を食べていない若手医師に、MRがおにぎりやみそ汁を用意し、食べている間に自社製品の宣伝と処方を依頼していた。この頃は、接待的な要素は見られず、多忙な医師の邪魔をしてはいけないという一心だったのだろう。しかし、
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