鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜
本庶教授のノーベル賞 欧米にうまみを取られない国に
第72回
2018年10月15日号
大方の予想どおり、京都大学の本庶佑特別教授がノーベル生理学・医学賞を受賞した。日本人の同賞受賞は26人目、生理学・医学賞受賞は5人目だそうだ。本庶教授の発見によって生まれた免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ(オプジーボ)」のおかげで、多くのがん患者が救われている。本当にノーベル賞に相応しい、素晴らしい成果だと思う。 受賞の記者会見で、本庶教授は基礎研究にもっと投資すべきだと訴え、次のように語っている。 「あまり応用ではなく、なるべくたくさんばらまくべきだ。1億円を1人でなく、せめて10人くらいにやって可能性を追究したほうが、ライフサイエンスは期待を持てる。多くの人にチャンスを与えるべきだ。とくに若い人に」 この発言の背景には、若い研究者が落ち着いて基礎研究に取り組めるポストが減り、論文の投稿数なども中国に抜かれ、このままでは10年、20年...
大方の予想どおり、京都大学の本庶佑特別教授がノーベル生理学・医学賞を受賞した。日本人の同賞受賞は26人目、生理学・医学賞受賞は5人目だそうだ。本庶教授の発見によって生まれた免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ(オプジーボ)」のおかげで、多くのがん患者が救われている。本当にノーベル賞に相応しい、素晴らしい成果だと思う。 受賞の記者会見で、本庶教授は基礎研究にもっと投資すべきだと訴え、次のように語っている。 「あまり応用ではなく、なるべくたくさんばらまくべきだ。1億円を1人でなく、せめて10人くらいにやって可能性を追究したほうが、ライフサイエンスは期待を持てる。多くの人にチャンスを与えるべきだ。とくに若い人に」 この発言の背景には、若い研究者が落ち着いて基礎研究に取り組めるポストが減り、論文の投稿数なども中国に抜かれ、このままでは10年、20年後に
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