「バイオセイム」が示すBS市場の未来
「空気を読まない」協和キリンと、産業振興で板挟みの厚労省
2018年11月1日号
日本市場向けにバイオ医薬品を持つ先行大手の事業戦略としては、一度は必ず検討の俎上に上るだろう。ただ、ほかの多くの企業では、かなり早い段階で「悪手」と判断されたのではないだろうか。 早ければ12月にも薬価収載の運びとなった、協和発酵キリンの腎性貧血治療薬「ネスプ」(一般名=ダルベポエチン)のオーソライズド・ジェネリック(AG)化は、その意外性と相まって強いインパクトを放っている。 短期的には、競合他社がリスクを負って事業化を進めてきた同剤バイオ後続品(BS)の製品化の芽を摘む究極の「ちゃぶ台返し」になる可能性が高い。ネスプBSは、同じBSでも先行品とマスターセルバンクが同根の「バイオセイム」である。工場や製法も変わらないとなれば、製品としての品質がまったく変わらず、ただ薬価だけが安い。加えてネスプは、すでに医療費包括化が組み込まれている透...
日本市場向けにバイオ医薬品を持つ先行大手の事業戦略としては、一度は必ず検討の俎上に上るだろう。ただ、ほかの多くの企業では、かなり早い段階で「悪手」と判断されたのではないだろうか。 早ければ12月にも薬価収載の運びとなった、協和発酵キリンの腎性貧血治療薬「ネスプ」(一般名=ダルベポエチン)のオーソライズド・ジェネリック(AG)化は、その意外性と相まって強いインパクトを放っている。 短期的には、競合他社がリスクを負って事業化を進めてきた同剤バイオ後続品(BS)の製品化の芽を摘む究極の「ちゃぶ台返し」になる可能性が高い。ネスプBSは、同じBSでも先行品とマスターセルバンクが同根の「バイオセイム」である。工場や製法も変わらないとなれば、製品としての品質がまったく変わらず、ただ薬価だけが安い。加えてネスプは、すでに医療費包括化が組み込まれている透析市
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