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医政羅針盤

予防の医療費削減効果に関する「常識」

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2018年11月1日号

 10月9日に開催された財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の資料のなかで、「予防医療等の促進は重要な課題」としつつ、「予防医療等により、実績として社会保障費の自然増が減少すれば、社会保障費の伸びの抑制にもつながり得る。しかしながら、予防医療等による医療費や介護費の節減効果は定量的に明らかではなく、一部にはむしろ増大させるとの指摘もある」との記述があり、話題となった。日本医師会の横倉義武会長は「地域での健康づくり活動に水を差すものであり、強い怒りを感じる」と厳しく批判している。 この記述は、それゆえ「医療・介護提供体制の改革や給付と負担の見直しを含む制度全般にわたる改革」が必要だと主張するためのものであり、財務省らしい論旨となっている。だが、予防の医療費削減効果がほとんどないというのは医療経済学の常識であり、その点だけを見れば、財務省の...  10月9日に開催された財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の資料のなかで、「予防医療等の促進は重要な課題」としつつ、「予防医療等により、実績として社会保障費の自然増が減少すれば、社会保障費の伸びの抑制にもつながり得る。しかしながら、予防医療等による医療費や介護費の節減効果は定量的に明らかではなく、一部にはむしろ増大させるとの指摘もある」との記述があり、話題となった。日本医師会の横倉義武会長は「地域での健康づくり活動に水を差すものであり、強い怒りを感じる」と厳しく批判している。 この記述は、それゆえ「医療・介護提供体制の改革や給付と負担の見直しを含む制度全般にわたる改革」が必要だと主張するためのものであり、財務省らしい論旨となっている。だが、予防の医療費削減効果がほとんどないというのは医療経済学の常識であり、その点だけを見れば、財務省の指摘

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