読む医療—医師が書いた本の斜め読み—
自殺は罪ではないが「幇助は罪」
第108回
鍛冶孝雄
2018年11月1日号
あまり生理的に受容しがたいのが、「終活」という言葉。メディアは、遺品整理の仕事、葬儀や墓のあり方、リビング・ウイルへの対処、相続や空き家問題など、人々の人生の終わりに関して各論噴出しているさまを、連日伝える。私もそろそろ真剣に考えなければならない齢なのだが、少々うんざり気味である。それでも、自分とは無縁でないテーマに晒されると、やはり無視はできない。例えば「墓」だ。この前までは、墓をどう確保するのか、とくに都市部での新しい墓のトレンドなどにメディアは関心を向けていたが、最近では「墓じまい」をフォーカスしている。 私も父母までが入る墓を守ってはいるが、私たち夫婦がそこに入ることは考えていないし、子どもたちに墓を守らせるのは気が進まない。父母から墓守を受け継ぐとき、かなり重たい躊躇があったからだ。子どもたちに躊躇をリレーするわけにはいかず...
あまり生理的に受容しがたいのが、「終活」という言葉。メディアは、遺品整理の仕事、葬儀や墓のあり方、リビング・ウイルへの対処、相続や空き家問題など、人々の人生の終わりに関して各論噴出しているさまを、連日伝える。私もそろそろ真剣に考えなければならない齢なのだが、少々うんざり気味である。それでも、自分とは無縁でないテーマに晒されると、やはり無視はできない。例えば「墓」だ。この前までは、墓をどう確保するのか、とくに都市部での新しい墓のトレンドなどにメディアは関心を向けていたが、最近では「墓じまい」をフォーカスしている。 私も父母までが入る墓を守ってはいるが、私たち夫婦がそこに入ることは考えていないし、子どもたちに墓を守らせるのは気が進まない。父母から墓守を受け継ぐとき、かなり重たい躊躇があったからだ。子どもたちに躊躇をリレーするわけにはいかず、決
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