ＣＳＲ「万能主義」の是非 | 医薬経済オンライン

ＣＳＲ「万能主義」の是非

中外「ピシバニール」の無償提供終了で困惑する患者

2018年12月1日号

　今から26年前の92年、メキシコ人一家が大阪国際空港に降り立った。両親と姉弟の４人家族。母親に抱きかかえられた１歳の男児は、首周りと舌が腫れ上がり、首には気管切開のチューブが挿入されていた。名前はカルロス・ペレサレスちゃん。リンパ管腫という難病の治療のための来日だった。来日したカルロスちゃんと母親　リンパ管腫は頬や首、脇の下などにできるリンパ嚢胞で、多くは２歳までに発症。良性の腫瘍だが、発生する部位によっては気道狭窄で窒息する可能性もある。　カルロスちゃんの治療を引き受けたのは、京都府立医科大学の小児外科医の荻田修平氏。中外製薬の「ピシバニール」がリンパ管腫に効くことを論文で発表した医師だった。カルロスちゃんの父親はその論文を読んで、来日を決めた。　一家は滞在費や治療費のため、家や車を売り払っていた。荻田医師はこれを知り、「カルロスちゃん... 　今から26年前の92年、メキシコ人一家が大阪国際空港に降り立った。両親と姉弟の４人家族。母親に抱きかかえられた１歳の男児は、首周りと舌が腫れ上がり、首には気管切開のチューブが挿入されていた。名前はカルロス・ペレサレスちゃん。リンパ管腫という難病の治療のための来日だった。来日したカルロスちゃんと母親　リンパ管腫は頬や首、脇の下などにできるリンパ嚢胞で、多くは２歳までに発症。良性の腫瘍だが、発生する部位によっては気道狭窄で窒息する可能性もある。　カルロスちゃんの治療を引き受けたのは、京都府立医科大学の小児外科医の荻田修平氏。中外製薬の「ピシバニール」がリンパ管腫に効くことを論文で発表した医師だった。カルロスちゃんの父親はその論文を読んで、来日を決めた。　一家は滞在費や治療費のため、家や車を売り払っていた。荻田医師はこれを知り、「カルロスちゃん基金

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