医薬経済オンライン

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現場が望む社会保障制度

医療保険制度をゼロベースで考える⑴

第43回

ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳

2018年12月1日号

 福祉国家の研究者に毛嫌いされている自由主義経済学者のフリードリヒ・ハイエクは「現行制度の原則を承認する気持ちのない者の見解は大切に受け止められない。(注:現行制度の)発展を望む者だけが制度的な意味の専門家であり、しがらみに拘束されず反対を唱える経済学者や法律家は専門家とみなされない」と皮肉交じりで書いた(『自由の条件』)。 この指摘が正しいとすると、このコーナーで「そもそも論」に立って制度を語っている筆者は「専門家」ではなくなるのだが、公的医療保険制度についてもハイエクの皮肉に近い状況が見られる。 例えば、公的医療保険制度の解説書を読むと、制度の概要と歴史に多くの紙幅が割かれており、100年に及ぶ歴史と複雑さを持った医療保険制度を学ぶだけで、相当な労力と時間が必要になる。 筆者のような部外者から見ると、「なぜ既存制度を前提にした説明し...  福祉国家の研究者に毛嫌いされている自由主義経済学者のフリードリヒ・ハイエクは「現行制度の原則を承認する気持ちのない者の見解は大切に受け止められない。(注:現行制度の)発展を望む者だけが制度的な意味の専門家であり、しがらみに拘束されず反対を唱える経済学者や法律家は専門家とみなされない」と皮肉交じりで書いた(『自由の条件』)。 この指摘が正しいとすると、このコーナーで「そもそも論」に立って制度を語っている筆者は「専門家」ではなくなるのだが、公的医療保険制度についてもハイエクの皮肉に近い状況が見られる。 例えば、公的医療保険制度の解説書を読むと、制度の概要と歴史に多くの紙幅が割かれており、100年に及ぶ歴史と複雑さを持った医療保険制度を学ぶだけで、相当な労力と時間が必要になる。 筆者のような部外者から見ると、「なぜ既存制度を前提にした説明しかな

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