時流遡航
哲学の脇道遊行記―その実景探訪
第5回─「1」という数の根幹を探り理論の本質を考える─
本田成親
2018年12月1日号
自然数をはじめとする数値と単位(類概念)の関係について述べてきましたが、そもそも「1」という数字の意味するところはどのようなものなのでしょうか。幼稚園児でも知っているそんな当たり前のことを取り上げるなんてどうかしている――多分そんなふうにお感じの方も多いことでしょう。 でもこの「1」という数字、よくよく考えてみるとなかなか厄介な存在なのです。「リンゴが1個ある」などと安易に述べはしますが、厳密な意味で、色、形、大きさ、重さなどがすべて同じのリンゴなどこの世には2つと存在していません。人間や犬猫、諸々の野生動物に至っては、たとえ双生児だったとしても完璧な同一個体が複数個存在することなど絶対にありません。そうしてみると、「リンゴが1個ある」という表現に象徴される「1」という数値は、特定の「類」の存在を前提としたとても抽象的な概念ということに...
自然数をはじめとする数値と単位(類概念)の関係について述べてきましたが、そもそも「1」という数字の意味するところはどのようなものなのでしょうか。幼稚園児でも知っているそんな当たり前のことを取り上げるなんてどうかしている――多分そんなふうにお感じの方も多いことでしょう。 でもこの「1」という数字、よくよく考えてみるとなかなか厄介な存在なのです。「リンゴが1個ある」などと安易に述べはしますが、厳密な意味で、色、形、大きさ、重さなどがすべて同じのリンゴなどこの世には2つと存在していません。人間や犬猫、諸々の野生動物に至っては、たとえ双生児だったとしても完璧な同一個体が複数個存在することなど絶対にありません。そうしてみると、「リンゴが1個ある」という表現に象徴される「1」という数値は、特定の「類」の存在を前提としたとても抽象的な概念ということになり
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