読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
死因「老衰」の再定義検討を促す
第111回
鍛冶孝雄
2018年12月15日号
「解剖してみて、本当に老衰で死んだと思われる例は見たことがない」。1948年のICD(国際疾病分類)6の国際会議での学者の発言だ。これ以降しばらく、日本の医療現場では「老衰」というカテゴリーは、少なくとも死亡診断書ではほぼなくなったらしい。 だが、そう言い切られると固まる。不自然。この違和感は、私だけだろうか。ほぼすでに一時期、放逐されたのであれば、医学・医療という世界で学んだことがない私が、年少のときから極めて馴染みのある言葉として、常識として、死因としての「老衰」を知っているわけがない、と思う。読書は、時としてこうした唐突の違和感から頁をめくっていくこともある。 今回の読書は、藤村憲治著『死因「老衰」とは何か』(南方新社)。18年7月の刊行だ。サブタイトルは「日本は『老衰』大国、『老衰』で死ねないアメリカ」。サブタイトルまで読んで、専...
「解剖してみて、本当に老衰で死んだと思われる例は見たことがない」。1948年のICD(国際疾病分類)6の国際会議での学者の発言だ。これ以降しばらく、日本の医療現場では「老衰」というカテゴリーは、少なくとも死亡診断書ではほぼなくなったらしい。 だが、そう言い切られると固まる。不自然。この違和感は、私だけだろうか。ほぼすでに一時期、放逐されたのであれば、医学・医療という世界で学んだことがない私が、年少のときから極めて馴染みのある言葉として、常識として、死因としての「老衰」を知っているわけがない、と思う。読書は、時としてこうした唐突の違和感から頁をめくっていくこともある。 今回の読書は、藤村憲治著『死因「老衰」とは何か』(南方新社)。18年7月の刊行だ。サブタイトルは「日本は『老衰』大国、『老衰』で死ねないアメリカ」。サブタイトルまで読んで、専門家
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