医薬経済オンライン

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読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー

「男尊女卑志向」がつくり出す症候群

第113回

鍛冶孝雄

2019年1月15日号

 もうすぐ平成が終わる。今回の読書はダン・カイリー著、小此木啓吾訳の『ピーター・パン・シンドローム』(祥伝社)。カイリー氏が米国で同書を著したときは1983年だが、小此木啓吾訳初版は、少なくとも1年後の84年に上梓された。以来、ずっと読み継がれ、ロングセラーとなった1冊だ。 翻訳本出版の早さは、ピーター・パン・シンドローム(PPS)という書名の印象が流行語になる予感を携えており、日本でも問題が焦点化し始めた青少年のある種の発達障害が、人々の認識の確定と共感に助勢となるとの確信が訳者らにあったからだ。 この「大人になれない少年の問題」は数年後に訪れる平成時代でも社会のあちこちで増幅し、日本ではバブル崩壊という経済混乱の後の停滞も相まって、未来への絶望や大人たちの無策、無気力の蔓延に対する無力感が表面化するなかで、とくに男の子たちにその傾向を...  もうすぐ平成が終わる。今回の読書はダン・カイリー著、小此木啓吾訳の『ピーター・パン・シンドローム』(祥伝社)。カイリー氏が米国で同書を著したときは1983年だが、小此木啓吾訳初版は、少なくとも1年後の84年に上梓された。以来、ずっと読み継がれ、ロングセラーとなった1冊だ。 翻訳本出版の早さは、ピーター・パン・シンドローム(PPS)という書名の印象が流行語になる予感を携えており、日本でも問題が焦点化し始めた青少年のある種の発達障害が、人々の認識の確定と共感に助勢となるとの確信が訳者らにあったからだ。 この「大人になれない少年の問題」は数年後に訪れる平成時代でも社会のあちこちで増幅し、日本ではバブル崩壊という経済混乱の後の停滞も相まって、未来への絶望や大人たちの無策、無気力の蔓延に対する無力感が表面化するなかで、とくに男の子たちにその傾向を強め

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