医薬経済オンライン

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患者にわいせつ容疑の外科医に「無罪」

性的被害の幻覚を見る「術後せん妄」の怖さ

元特捜部主任検事 前田恒彦

2019年3月1日号

東京の柳原病院で起こった 乳腺手術直後の女性患者の乳首をなめたとして準強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、容疑を否認していた外科医に対し、東京地裁は無罪を言い渡した。予想どおりの結果だ。 まず特筆すべきは、客観証拠の脆弱さと鑑定の杜撰さだ。医師の犯行を基礎付ける証拠は、女性の証言のほか、その胸に付着していた医師の唾液と見られる液体だけだ。しかし、主治医である以上、触診時などにその唾液が飛び、指の汗が付着した可能性は高い。医師のDNA型が検出されたからといって、なめたとは断定できない。 そうすると、液体中のDNA型の分量が重要となり、検察も飛沫ではあり得ないほど多いと主張していた。ところが、液体のサンプルは警察の科学捜査研究所による鑑定ですべて消費され、弁護側による再鑑定が不可能な状態だった。 しかも、分量に関する数字は科捜研の鑑定官がワーク... 東京の柳原病院で起こった 乳腺手術直後の女性患者の乳首をなめたとして準強制わいせつ罪で逮捕・起訴され、容疑を否認していた外科医に対し、東京地裁は無罪を言い渡した。予想どおりの結果だ。 まず特筆すべきは、客観証拠の脆弱さと鑑定の杜撰さだ。医師の犯行を基礎付ける証拠は、女性の証言のほか、その胸に付着していた医師の唾液と見られる液体だけだ。しかし、主治医である以上、触診時などにその唾液が飛び、指の汗が付着した可能性は高い。医師のDNA型が検出されたからといって、なめたとは断定できない。 そうすると、液体中のDNA型の分量が重要となり、検察も飛沫ではあり得ないほど多いと主張していた。ところが、液体のサンプルは警察の科学捜査研究所による鑑定ですべて消費され、弁護側による再鑑定が不可能な状態だった。 しかも、分量に関する数字は科捜研の鑑定官がワークシー

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