読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
発達障害と思いたい大人たち
第116回
鍛冶孝雄
2019年3月1日号
筆者が若い頃、同年輩のかなりの女性が「自分は低血圧なので、朝が弱い」とか、「冷え症」だといって、低血圧をアピールした。恐らく本当だったのだろうが、今風にいえば「男子」だった私や、その友人たちは、低血圧は「いい女」アピールだと言い合った。要するに疑っていた。今考えると、昔の若い女性は栄養失調気味だったのかもしれない。今はそういうことをアピールする女性は少ないように感じるからだが……。 こんなことをつい思い出したのは、『「発達障害」と言いたがる人たち』(香山リカ著、SB新書)を読んだため。00年に出されたサリ・ソルデン著のベストセラー、『片づけられない女たち』を読んだらしい女性たちが、自分も発達障害ではないかと受診する例が増加していると、同書の「はじめに」で述べられているからである。「片づけられない」内容を聞くと、食事後に食器を洗わないことが...
筆者が若い頃、同年輩のかなりの女性が「自分は低血圧なので、朝が弱い」とか、「冷え症」だといって、低血圧をアピールした。恐らく本当だったのだろうが、今風にいえば「男子」だった私や、その友人たちは、低血圧は「いい女」アピールだと言い合った。要するに疑っていた。今考えると、昔の若い女性は栄養失調気味だったのかもしれない。今はそういうことをアピールする女性は少ないように感じるからだが……。 こんなことをつい思い出したのは、『「発達障害」と言いたがる人たち』(香山リカ著、SB新書)を読んだため。00年に出されたサリ・ソルデン著のベストセラー、『片づけられない女たち』を読んだらしい女性たちが、自分も発達障害ではないかと受診する例が増加していると、同書の「はじめに」で述べられているからである。「片づけられない」内容を聞くと、食事後に食器を洗わないことが多い
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