医薬経済オンライン

医療・医薬業界をさまざまな視点・論点から示すメディア

鳥集徹の口に苦い話〜媚びないジャーナリストの劇薬処方箋〜

「認知症治療薬」失敗を嘆くより予防政策に取り組むべき

第86回

2019年5月15日号

 今年3月、日本のエーザイと米国のバイオジェンが共同で開発を進めていた認知症治療薬「アデュカヌマブ」の第Ⅲ相試験の中止がニュースとなった。「主要評価項目が達成される可能性が低い」というのがその理由だ。認知症の根本的治療薬になるとの期待が寄せられてきただけに、巨額の開発費をつぎ込んできた関係各社のショックは大きいだろう。 アデュカヌマブだけでなく、アルツハイマー病患者の脳にたまるアミロイドβを標的とした治療薬候補の臨床試験はことごとく失敗してきた。筆者も『週刊文春』の取材を通して、認知症の専門医から意見を聞いたが、多くの人が指摘しているとおり、「アミロイドβ仮説」に立脚する限り、治療薬の実現は難しいのかもしれない。 ドネペジルなど従来の認知症治療薬についても、東京大学大学院の五十嵐中客員准教授が本誌でレポートしていたとおり、仏国政府が保険適用...  今年3月、日本のエーザイと米国のバイオジェンが共同で開発を進めていた認知症治療薬「アデュカヌマブ」の第Ⅲ相試験の中止がニュースとなった。「主要評価項目が達成される可能性が低い」というのがその理由だ。認知症の根本的治療薬になるとの期待が寄せられてきただけに、巨額の開発費をつぎ込んできた関係各社のショックは大きいだろう。 アデュカヌマブだけでなく、アルツハイマー病患者の脳にたまるアミロイドβを標的とした治療薬候補の臨床試験はことごとく失敗してきた。筆者も『週刊文春』の取材を通して、認知症の専門医から意見を聞いたが、多くの人が指摘しているとおり、「アミロイドβ仮説」に立脚する限り、治療薬の実現は難しいのかもしれない。 ドネペジルなど従来の認知症治療薬についても、東京大学大学院の五十嵐中客員准教授が本誌でレポートしていたとおり、仏国政府が保険適用から

有料会員限定

会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください

【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)

googleAdScence