技術革新と製薬企業の明日
将来に禍根を残す決着
第104回 ロシュと厚労省が繰り広げた暗闘
生島准
2019年5月15日号
日本でもがんゲノム医療が6月から公的医療保険に適用される。だが、本来なら「平成30年度」内に始まる予定だった。それが「令和元年」からの開始と、なぜ3ヵ月もずれ込んだのか。世界最大の製薬企業であるスイス・ロシュ/中外製薬と厚生労働省が暗闘を続けていたからだった。
4月24日の中央社会保険医療協議会総会で、「がん遺伝子パネル検査を行う場合、そこで得られたがん遺伝子変異に対する情報を医療機関は国立がん研究センターに19年6月1日に設置されたがんゲノム情報管理センター(C︱CAT)に提出することを医療機関に義務つけること」が了承された。これによって、当初がん遺伝子変異に対する情報提供を拒否していたロシュと厚労省の事実上の手打ちを行った。
遡ること4カ月前の18年12月20日、厚労省は2つのがん遺伝子パネル検査を承認した。第1は国立がん研究セ...
日本でもがんゲノム医療が6月から公的医療保険に適用される。だが、本来なら「平成30年度」内に始まる予定だった。それが「令和元年」からの開始と、なぜ3ヵ月もずれ込んだのか。世界最大の製薬企業であるスイス・ロシュ/中外製薬と厚生労働省が暗闘を続けていたからだった。
4月24日の中央社会保険医療協議会総会で、「がん遺伝子パネル検査を行う場合、そこで得られたがん遺伝子変異に対する情報を医療機関は国立がん研究センターに19年6月1日に設置されたがんゲノム情報管理センター(C︱CAT)に提出することを医療機関に義務つけること」が了承された。これによって、当初がん遺伝子変異に対する情報提供を拒否していたロシュと厚労省の事実上の手打ちを行った。
遡ること4カ月前の18年12月20日、厚労省は2つのがん遺伝子パネル検査を承認した。第1は国立がん研究センタ
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