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本庶氏の反発は当然の帰結

第105回  小野との争いは「産学連携」基盤形成に不可欠

生島准

2019年6月15日号

「個人の欲のために争っているのではない。非常に厳しい環境にある若手の研究者に好きな研究を自由にやらせる基金をつくりたい。そのためには、1000億円以上の資金が必要なのだ」 京都大学の本庶佑特別教授がこう声を荒らげた。普段はクールな18年のノーベル医学生理学賞受賞者がここまで血圧を上げるのも、「オプジーボ」の特許使用料交渉での小野薬品の対応に業を煮やしたためだ(表)。常識的な特許使用料ならば1500億〜3000億円、今後、特許紛争で勝利を重ねれば、5000億円近い累積収入も夢ではない本庶氏の1000億円寄付の要求は慎ましやかなものである。 小野は6月20日の株主総会までコメントをひとつだけ発表したのみ(10日現在)。8年間にわたる本庶氏と小野の紆余曲折に富み、しかもまだ合意にいたらぬ特許使用料交渉の経緯を見ると、日本に本当にフェアな産学連携が根付いていないことを痛感... 「個人の欲のために争っているのではない。非常に厳しい環境にある若手の研究者に好きな研究を自由にやらせる基金をつくりたい。そのためには、1000億円以上の資金が必要なのだ」 京都大学の本庶佑特別教授がこう声を荒らげた。普段はクールな18年のノーベル医学生理学賞受賞者がここまで血圧を上げるのも、「オプジーボ」の特許使用料交渉での小野薬品の対応に業を煮やしたためだ(表)。常識的な特許使用料ならば1500億〜3000億円、今後、特許紛争で勝利を重ねれば、5000億円近い累積収入も夢ではない本庶氏の1000億円寄付の要求は慎ましやかなものである。 小野は6月20日の株主総会までコメントをひとつだけ発表したのみ(10日現在)。8年間にわたる本庶氏と小野の紆余曲折に富み、しかもまだ合意にいたらぬ特許使用料交渉の経緯を見ると、日本に本当にフェアな産学連携が根付いていないことを痛感する

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