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時流遡航

哲学の脇道遊行記―その実景探訪

第18回 ー標準治療の背景やその立脚基盤を考察するー

本田成親

2019年6月15日号

 ある事象の構成要素個々のもつ特性を極力重要視する具体的思考と、事象の構成要素個々に共通する平均的特性を重要視する抽象的思考とは本来相補的なものであり、どちらかが絶対的に優先されるべきだというようなものではありません。具体性の度合いが高まるほど個々の要素に特有な性質は明瞭になりますが、そのぶん全体の要素に共通な事象像は漠然としたものになっていきます。逆にまた抽象性の度合いが高まるほどに事象全体の平均像は鮮明なものになっていきますが、反比例するかたちで構成要素個々の具体的な性質はどんどん薄れてしまいます。  現実(具体性)を優先するか、理論(抽象性)を優先するかは絶対解のない永遠の課題であって、我われは両者の間のバランスをとりながら時代の歯車を回していくしかありません。時の流れや折々の自然環境・社会環境の変化に影響されて、両者の...  ある事象の構成要素個々のもつ特性を極力重要視する具体的思考と、事象の構成要素個々に共通する平均的特性を重要視する抽象的思考とは本来相補的なものであり、どちらかが絶対的に優先されるべきだというようなものではありません。具体性の度合いが高まるほど個々の要素に特有な性質は明瞭になりますが、そのぶん全体の要素に共通な事象像は漠然としたものになっていきます。逆にまた抽象性の度合いが高まるほどに事象全体の平均像は鮮明なものになっていきますが、反比例するかたちで構成要素個々の具体的な性質はどんどん薄れてしまいます。  現実(具体性)を優先するか、理論(抽象性)を優先するかは絶対解のない永遠の課題であって、我われは両者の間のバランスをとりながら時代の歯車を回していくしかありません。時の流れや折々の自然環境・社会環境の変化に影響されて、両者の優

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