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医政羅針盤

高額な治療法への危機感に冷静な対応を

山形大学大学院医学系研究科医療政策学講座教授 村上正泰

2019年6月15日号

 医療政策に関する議論では、同じような主張が周期的に繰り返し登場することが多い。いわゆる「混合診療」の全面解禁を中心に、医療への市場原理拡大を求めるような社会的弊害の大きい提案や、予防によって医療費を削減するといった根拠のない主張がその代表例である。最近では、高額な新規治療法が登場するたびに、危機感を煽るような報道が繰り返される。 16年には「オプジーボ」の高額な価格設定が社会問題化した。1つの医薬品で国民皆保険が崩壊してしまうかのような議論も流布されていたが、そのような事態にはならなかった。厚生労働省は、17年2月に緊急的に薬価の50%特例引き下げを実施した。また、使用を必要とする患者の選択基準や、使用する医師や医療機関などの要件を盛り込んだ「最適使用推進ガイドライン」も策定した。 当然のことながら、高額な新規治療法の相次ぐ登場に対して、何の...  医療政策に関する議論では、同じような主張が周期的に繰り返し登場することが多い。いわゆる「混合診療」の全面解禁を中心に、医療への市場原理拡大を求めるような社会的弊害の大きい提案や、予防によって医療費を削減するといった根拠のない主張がその代表例である。最近では、高額な新規治療法が登場するたびに、危機感を煽るような報道が繰り返される。 16年には「オプジーボ」の高額な価格設定が社会問題化した。1つの医薬品で国民皆保険が崩壊してしまうかのような議論も流布されていたが、そのような事態にはならなかった。厚生労働省は、17年2月に緊急的に薬価の50%特例引き下げを実施した。また、使用を必要とする患者の選択基準や、使用する医師や医療機関などの要件を盛り込んだ「最適使用推進ガイドライン」も策定した。 当然のことながら、高額な新規治療法の相次ぐ登場に対して、何の対策

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