「歪んだ両輪」が次の福生病院を生む

透析中止が「死の選択肢」にならないために

フリージャーナリスト　髙橋幸春

2019年7月1日号

　公立福生病院（東京都福生市）で昨年8月、「透析治療中止を選んだ女性（44）が1週間後に死亡した」と、毎日新聞（3月7日朝刊）が報道した。「医師、『死』の選択肢提示」とショッキングな見出しだった。福生病院  　女性は約5年間、透析治療をほかの診療所で受けていた。しかし、次第に血液回路（シャント）の機能が低下し、福生病院を訪れていた。報道によると、シャントはもはや改善できるレベルではなかった。福生病院は長期留置型カテーテルによる透析を提示する一方で、透析を中止する選択肢も患者に示したとされている。　長期留置型カテーテルによる透析とは、外科的に取り付けるシャントが使えなくなったときに、右内頸静脈などにカテーテルを挿入し、カテーテルから血液を透析器にかけ、体内に戻す方法だ。比較的簡単に留置することができる... 　公立福生病院（東京都福生市）で昨年8月、「透析治療中止を選んだ女性（44）が1週間後に死亡した」と、毎日新聞（3月7日朝刊）が報道した。「医師、『死』の選択肢提示」とショッキングな見出しだった。福生病院  　女性は約5年間、透析治療をほかの診療所で受けていた。しかし、次第に血液回路（シャント）の機能が低下し、福生病院を訪れていた。報道によると、シャントはもはや改善できるレベルではなかった。福生病院は長期留置型カテーテルによる透析を提示する一方で、透析を中止する選択肢も患者に示したとされている。　長期留置型カテーテルによる透析とは、外科的に取り付けるシャントが使えなくなったときに、右内頸静脈などにカテーテルを挿入し、カテーテルから血液を透析器にかけ、体内に戻す方法だ。比較的簡単に留置することができるため

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