読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
戸惑い、怖気づき、未来を覗く
第124回
大西一幸
2019年7月1日号
私はむろん科学者ではない。長く医薬関係の取材記者として仕事をしてきたが、自らの不勉強ぶりには自覚的で反省もしている。
今回はシッダルータ・ムカジーの『遺伝子―親密なる人類史』を選んだ。上下巻で700頁を超える分量、壮大な生物学、生命学、社会学、人類学に関する史書である。遺伝子、ゲノムという言葉が表現するものが何であるのかすら、きちんと説明できない私が、その本の厚さ以上に複雑で濃厚で難解な印象に溺れて怖気づくのは、当然である。そして読書自体も、終わってしまうと多様で整理の難しいテーマの渦に巻き込まれ、混沌に溺れたままだ。それでも、解説の仲野徹・大阪大学大学院教授の「科学に興味がないという人がいても、我われの未来に興味がない人などいないだろう。その未来、いや、近未来は、『遺伝子』をどう取り扱うか、どう操作するかによって大きく変わっ...
私はむろん科学者ではない。長く医薬関係の取材記者として仕事をしてきたが、自らの不勉強ぶりには自覚的で反省もしている。
今回はシッダルータ・ムカジーの『遺伝子―親密なる人類史』を選んだ。上下巻で700頁を超える分量、壮大な生物学、生命学、社会学、人類学に関する史書である。遺伝子、ゲノムという言葉が表現するものが何であるのかすら、きちんと説明できない私が、その本の厚さ以上に複雑で濃厚で難解な印象に溺れて怖気づくのは、当然である。そして読書自体も、終わってしまうと多様で整理の難しいテーマの渦に巻き込まれ、混沌に溺れたままだ。それでも、解説の仲野徹・大阪大学大学院教授の「科学に興味がないという人がいても、我われの未来に興味がない人などいないだろう。その未来、いや、近未来は、『遺伝子』をどう取り扱うか、どう操作するかによって大きく変わって
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