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読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー

ポストゲノムが抱える新優生学

第125回

大西一幸

2019年7月15日号

 今回はシッダルータ・ムカジーの『遺伝子―親密なる人類史』のの続きである。ムカジーが高名な腫瘍専門医という点からは、遺伝子に関する科学史的な総論として読むべきかもしれないが、私はむしろ20世紀の遺伝学の急速な展開と、そこに歩調を合わせた優生学と、近年再び芽生えが見える「新優生学」についての関心を焦点として、読書を進めてみようと思う。  同書の刊行とは無関係だが、日本では4月24日、1948年から96年まで生きていた旧優生保護法の下で、不妊手術が行われた人を救済する法案が成立した。この法律を制定することを許した背景には20世紀における遺伝学と、それに携わった、前回も紹介した英国のフランシス・ゴルトンなどの優生思想の影響が濃厚に見られる。  ドイツの学者ヘラ・ラフルスらによると、優生思想には消極的優生思想と積極的優生思想...  今回はシッダルータ・ムカジーの『遺伝子―親密なる人類史』のの続きである。ムカジーが高名な腫瘍専門医という点からは、遺伝子に関する科学史的な総論として読むべきかもしれないが、私はむしろ20世紀の遺伝学の急速な展開と、そこに歩調を合わせた優生学と、近年再び芽生えが見える「新優生学」についての関心を焦点として、読書を進めてみようと思う。  同書の刊行とは無関係だが、日本では4月24日、1948年から96年まで生きていた旧優生保護法の下で、不妊手術が行われた人を救済する法案が成立した。この法律を制定することを許した背景には20世紀における遺伝学と、それに携わった、前回も紹介した英国のフランシス・ゴルトンなどの優生思想の影響が濃厚に見られる。  ドイツの学者ヘラ・ラフルスらによると、優生思想には消極的優生思想と積極的優生思想が

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