読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー
終末期の自由で健康な感覚
第126回
大西一幸
2019年8月1日号
週に1度掲載される新聞の短歌俳句欄は欠かさずに読んでいる。最近の選考傾向は若い人の短歌や句が重視されているように感じる。むろん、瑞々しい感性で、溌剌と思いを伝える若人の歌は優れているし、恋がテーマだとはるか昔に経験のある者には胸がひりりとすることもある。しかし応募する人は高齢者も少なくないのではないかと思う。ただ、思いはどこか皆似通ったり、モチーフが斬新さに欠けたり、表現が観念的で陳腐なものが多いのかもしれない。短歌俳句欄に目を通すたびに、いつも時代は若い人に微笑むものだと改めて思う。表現の世界ではそれは大切なことで、私は通りすぎた鋭敏な感性の時間を懐かしむのみだ。
だが、看取りをする医師には、歌や俳句、詩の世界は、終末期の人びとの多くの「生き様」を写し取る景色の世界になる。終末期にこそ歌われる感性の世界は、人が人であり、...
週に1度掲載される新聞の短歌俳句欄は欠かさずに読んでいる。最近の選考傾向は若い人の短歌や句が重視されているように感じる。むろん、瑞々しい感性で、溌剌と思いを伝える若人の歌は優れているし、恋がテーマだとはるか昔に経験のある者には胸がひりりとすることもある。しかし応募する人は高齢者も少なくないのではないかと思う。ただ、思いはどこか皆似通ったり、モチーフが斬新さに欠けたり、表現が観念的で陳腐なものが多いのかもしれない。短歌俳句欄に目を通すたびに、いつも時代は若い人に微笑むものだと改めて思う。表現の世界ではそれは大切なことで、私は通りすぎた鋭敏な感性の時間を懐かしむのみだ。
だが、看取りをする医師には、歌や俳句、詩の世界は、終末期の人びとの多くの「生き様」を写し取る景色の世界になる。終末期にこそ歌われる感性の世界は、人が人であり、皆違
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