時流遡航
哲学の脇道遊行記―その実景探訪
第21回 ─人類はなぜ歴史というものを必要としているのか─
本田成親
2019年8月1日号
それがいかなるものであるにしろ、歴史というものは一定の物語性を内に秘め持つことを避けられないと述べましたが、だからといってそれが人間社会にとって無意無益だと主張したいわけではありません。そこに記し伝えられている事象のすべてが真実であるとは限らないにもかかわらず、人類にとってなぜ歴史というものが必要なのかを考えてみることは、万事が慌ただしく変化し続けるこの時代にはとくに重要なことでしょう。
例えばこの社会に何か重大な事件が起こったとき、私たちはその真相を知りたいと思うものですし、諸々のメディアなどは極力当該事件の詳細を報道しようとするものです。しかし、どんな事件であるにしろ、その一連の過程には複雑に交錯する人間模様や社会的事情のほか、さまざまな偶然性が絡んだり介在したりしていますから、視座の取り方によってその様相はそれぞれに...
それがいかなるものであるにしろ、歴史というものは一定の物語性を内に秘め持つことを避けられないと述べましたが、だからといってそれが人間社会にとって無意無益だと主張したいわけではありません。そこに記し伝えられている事象のすべてが真実であるとは限らないにもかかわらず、人類にとってなぜ歴史というものが必要なのかを考えてみることは、万事が慌ただしく変化し続けるこの時代にはとくに重要なことでしょう。
例えばこの社会に何か重大な事件が起こったとき、私たちはその真相を知りたいと思うものですし、諸々のメディアなどは極力当該事件の詳細を報道しようとするものです。しかし、どんな事件であるにしろ、その一連の過程には複雑に交錯する人間模様や社会的事情のほか、さまざまな偶然性が絡んだり介在したりしていますから、視座の取り方によってその様相はそれぞれに異
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