なぜ裁判の開始に時間がかかるのか
相模原障害者施設殺傷事件からすでに3年
元特捜部主任検事 前田恒彦
2019年8月15日号
死者19人、重軽傷者26人を出した相模原障害者施設殺傷事件からすでに3年。それでも初公判は20年1月の予定だ。なぜ裁判が始まるまで時間がかかるのか。
もちろん、死刑の宣告を含め、裁判は人の人生を左右するものである以上、早ければそれでよいというわけではない。公平で適正な手続が不可欠だ。
それでも、時が経つほど正確な事実認定は困難となる。関係者の記憶が減退し、犯行現場なども様変わりするからだ。勾留は不当に長くなり、社会の衝撃や市民の関心も薄れる。
しかし、現実には、裁判員裁判の対象である殺人などの重大事件、なかでもその過半数を占める容疑否認のケースでは、当事者の主張や争点、証拠を整理する公判前整理手続の長期化が著しい。取調べの録音録画が実施され、捜査段階で黙秘や否認する者も増えているから、長期化の一途だ。
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死者19人、重軽傷者26人を出した相模原障害者施設殺傷事件からすでに3年。それでも初公判は20年1月の予定だ。なぜ裁判が始まるまで時間がかかるのか。
もちろん、死刑の宣告を含め、裁判は人の人生を左右するものである以上、早ければそれでよいというわけではない。公平で適正な手続が不可欠だ。
それでも、時が経つほど正確な事実認定は困難となる。関係者の記憶が減退し、犯行現場なども様変わりするからだ。勾留は不当に長くなり、社会の衝撃や市民の関心も薄れる。
しかし、現実には、裁判員裁判の対象である殺人などの重大事件、なかでもその過半数を占める容疑否認のケースでは、当事者の主張や争点、証拠を整理する公判前整理手続の長期化が著しい。取調べの録音録画が実施され、捜査段階で黙秘や否認する者も増えているから、長期化の一途だ。
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