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新薬承認にランダム化試験は必須か?

急性GVHD治療薬テムセルの場合

名古屋大学名誉教授・名古屋小児がん基金理事長 小島勢二

2019年9月1日号

 造血幹細胞移植後に見られる急性移植片対宿主病(GVHD)は、ステロイド剤に反応しない場合、その致死率が50%にも達する重篤な合併症である。種々の治療薬が試されたなかで、ステロイド抵抗性GVHDに対し、骨髄血を培養して作成した間葉系幹細胞(MSC)が著効したというスウェーデンのカロリンスカ研究所からの症例報告が注目された。04年のことである。この報告を欧州のいくつかの移植施設が追試したところ、その優れた効果が確認され、多施設共同研究も行われた。  ちょうどその頃、名古屋大学医学部附属病院内にセルプロセッシングセンターが建設されたことから、名大小児科においても、移植ドナー由来の骨髄MSCによる急性GVHD治療の臨床研究を開始した。MSCの培養には、決して難しい技術を必要としないが、不思議なことに日本国内で急性GVHDの治療にMSCの培養を試みたの...  造血幹細胞移植後に見られる急性移植片対宿主病(GVHD)は、ステロイド剤に反応しない場合、その致死率が50%にも達する重篤な合併症である。種々の治療薬が試されたなかで、ステロイド抵抗性GVHDに対し、骨髄血を培養して作成した間葉系幹細胞(MSC)が著効したというスウェーデンのカロリンスカ研究所からの症例報告が注目された。04年のことである。この報告を欧州のいくつかの移植施設が追試したところ、その優れた効果が確認され、多施設共同研究も行われた。  ちょうどその頃、名古屋大学医学部附属病院内にセルプロセッシングセンターが建設されたことから、名大小児科においても、移植ドナー由来の骨髄MSCによる急性GVHD治療の臨床研究を開始した。MSCの培養には、決して難しい技術を必要としないが、不思議なことに日本国内で急性GVHDの治療にMSCの培養を試みたのは、

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