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「テムセル」を承認した日本の再生医療は健全か

MSC製剤の海外開発状況から

名古屋大学名誉教授・名古屋小児がん基金理事長 小島勢二

2019年10月1日号

 日本で市販されている急性GVHD治療薬「テムセル」は骨髄間葉系幹細胞(MSC)由来の製剤で、米オサイリス・セラピューティクスが開発した「プロキマル」と同一の製剤である。日本では、JCRファーマがオサイリスの技術を導入して、テムセルの開発を行い薬事承認された。だが、プロキマルはラムダム化試験で有効性が示せず、米国食品医薬品局(FDA)からの薬事承認は得られなかったいわく付きの薬剤だ(本誌9月1日号参照)。  名古屋大学を含め、アカデミアで製造したMSC製剤の多くは、急性GVHDの治療薬として効果がみられることから、同じMSC製剤でありながら、なぜ効果に違いがみられるのかが研究された。骨髄血を提供するドナー間で免疫抑制効果に違いがあることのほか、同じMSC製剤でありながら、企業製剤とアカデミア製剤では、製造方法が異なることが判明している。  す...  日本で市販されている急性GVHD治療薬「テムセル」は骨髄間葉系幹細胞(MSC)由来の製剤で、米オサイリス・セラピューティクスが開発した「プロキマル」と同一の製剤である。日本では、JCRファーマがオサイリスの技術を導入して、テムセルの開発を行い薬事承認された。だが、プロキマルはラムダム化試験で有効性が示せず、米国食品医薬品局(FDA)からの薬事承認は得られなかったいわく付きの薬剤だ(本誌9月1日号参照)。  名古屋大学を含め、アカデミアで製造したMSC製剤の多くは、急性GVHDの治療薬として効果がみられることから、同じMSC製剤でありながら、なぜ効果に違いがみられるのかが研究された。骨髄血を提供するドナー間で免疫抑制効果に違いがあることのほか、同じMSC製剤でありながら、企業製剤とアカデミア製剤では、製造方法が異なることが判明している。  すなわ

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