医薬経済オンライン

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読む医療ー医師が書いた本の斜め読みー

原題と邦題の違和で生じるもどかしさ

第131回

大西一幸

2019年10月15日号

道程オリヴァー・サックス太田直子訳早川書房 2015年12月刊 10月1日号に引き続いてオリヴァー・サックスの著書『レナードの朝』を読むのだが、今回はそれに続けて彼の自伝である『道程』も読んだ。『道程』では、15年に没したサックスの人生観も知ることができたが、医学者というより、文学的な香りを強く感じる。ただ、私には少し違和感も残る自伝だった。  さて、『レナードの朝』だが、同書は「嗜眠性脳炎後遺症患者」20人を軸にした、パーキンソン病治療薬L–DOPA投与後の転帰に関する臨床報告だが、その一つひとつは非常に散文的で、文学性が高い。臨床報告としてはほぼ事実のようだが、患者名や施設(病院)名は架空だ。この散文性の高い“臨床報告”は、やや過剰にも思える「註」(脚注)とも相まって、どうしても読者に物語性を強く意識させ、ストーリーに引き込んでいく。 英国の著名な文学賞... 道程オリヴァー・サックス太田直子訳早川書房 2015年12月刊 10月1日号に引き続いてオリヴァー・サックスの著書『レナードの朝』を読むのだが、今回はそれに続けて彼の自伝である『道程』も読んだ。『道程』では、15年に没したサックスの人生観も知ることができたが、医学者というより、文学的な香りを強く感じる。ただ、私には少し違和感も残る自伝だった。  さて、『レナードの朝』だが、同書は「嗜眠性脳炎後遺症患者」20人を軸にした、パーキンソン病治療薬L–DOPA投与後の転帰に関する臨床報告だが、その一つひとつは非常に散文的で、文学性が高い。臨床報告としてはほぼ事実のようだが、患者名や施設(病院)名は架空だ。この散文性の高い“臨床報告”は、やや過剰にも思える「註」(脚注)とも相まって、どうしても読者に物語性を強く意識させ、ストーリーに引き込んでいく。 英国の著名な文学賞を得

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